【初心者の抹茶の選び方】なぜ価格が異なるのか?どの抹茶を選べばいい?

抹茶を選びたいと思っても、その価格の幅広さに驚かされることでしょう。

「とりあえず安いのを飲んでみる?」
「やっぱり高い方がおいしいのかな?」

と迷ってしまいますよね。

そこで、今回は失敗せずに抹茶を選ぶ方法についてご紹介します。

抹茶選びで知っておきたいPOINT

  • なぜ抹茶の価格に違いがあるのか
  • 抹茶のグレードについて
  • はじめての抹茶選び

これらの情報を踏まえて解説します。

抹茶の種類の違いを理解し、楽しい抹茶生活をスタートしましょう!

抹茶の価格に違いがある理由

抹茶の価格の差異の理由は何でしょうか?

それは、抹茶を生産するのに「手間がかかるから」です。

抹茶の中には、比較的手ごろな価格のものもあれば、かなり高価なものもあります。この違いは何が原因なのでしょうか?

抹茶の原料である「碾茶」の栽培と製造工程(栽培や収穫方法)が異なるからです。

抹茶は手間をかけてつくると、それに比例して品質も良くなります。

抹茶は「手間=品質」につながり、値段にも比例します。

抹茶が生産されるプロセスにおいて、品質や価格に影響を与える要因は以下の3つの工程にあります。

(※実際は碾茶を乾燥させる碾茶炉の工程も入りますが今回は省きます)

抹茶ができる工程の違いのおもな3つ

  • 被覆方法(ひふくほうほう)の違い
  • 摘採方法(てきさいほうほう)の違い
  • 粉砕方法(ふんさいほうほう)の違い

それでは、各工程での製造方法の違いをくわしく見てみましょう。

1⃣ 被覆(ひふく)方法の違い

碾茶は「覆い下栽培(おおいしたさいばい)」という方法で育てられます。

覆い下栽培(被覆栽培)とは、新芽を一定の期間、日光を遮って育てる方法のこと。

光を遮ることで、抹茶の

  • 香り

が向上します。

お茶のうまみ成分であるテアニンなどのアミノ酸は日光に当たることで渋み・苦み成分であるカテキンに変化しますが、被覆することによってアミノ酸がカテキンに変化するのを抑制してくれるため、渋み・苦みの少ないうまみや甘みのあるとてもおいしい味になります。

色味は、日光を遮ることで葉緑素が多くなり鮮やかな緑色になります。また、覆いによって「覆い香」と呼ばれる碾茶独特の芳香がうまれます。

被覆方法のなかでも、棚がけ被覆と直がけ被覆があります。

覆い下栽培の被覆方法

棚がけ被覆

棚がけ被覆は、被覆棚を設置する方法(柱をたて藁や寒冷紗で被覆する)。

遮光率を95~98%に調節でき、美味しい品質の高い抹茶が生産できます。(品質重視)

被覆する際には、「よしず」や「わら」を用いて被覆していましたが、近年では寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる黒い化学繊維の使用がほとんどです。

棚がけ被覆は棚の設置コストが高額となるため、現在では直かけ被覆による生産が主流となっています。

こちらは、寒冷紗を使用した棚がけ被覆方法。画像:京都府公式サイトより
直がけ被覆

直がけ被覆は、茶株面に直接被覆して遮光する方法。(量産重視)

遮光率はおよそ85%です。棚がけ栽培より日光の遮断の調整が緩くなってしまいます(量産重視)

近年の抹茶ブームにより抹茶の需要が大きく増加し、加工用抹茶には低コスト化が求められています。

棚がけ被覆では、抹茶のコストが高くなってしまうため直がけ被覆での生産が大幅に増加し、今後も増加する傾向が継続していくと予測されます。

画像:京都府公式サイトより

直がけ被覆は、棚を作らず簡易的に被覆ができますが、被覆素材が茶葉にふれてしまいますので、新芽が傷つけられたり、遮光率や温度の調整、霜害の予防などがむずかしくなります。棚がけは、棚を設置する分手間もコストもかかりますが、品質は、直がけより格段に良質なものになります。

2⃣ 摘採方法の違い

茶の葉の摘採方法には大きく分けて下記の2種類あります。

2種類の摘採方法

  • 手摘み(新芽だけを丁寧に摘む)
  • 機械摘み(常用型・可搬型)

手摘みの場合、手間はかかりますが古葉などの混入はほとんどなく、やわらかい新芽だけを摘むことができ、良質のお茶が製造できます。

手摘みの場合は、1時間に1~3kgほどしか収穫量がないそうです。

※こちらはイメージです。

一方、機械摘み(ハサミ刈り)の場合、上手く新芽の部分だけを刈ることができませんので、古葉や枝などが混入されて摘採されます。手間に関しては、手摘みに比べ摘採時間も短縮でき、摘採量も大幅に増やすことができます。

機械摘み(可搬型):1時間に200~250kg収穫量
機械摘み(常用型):1時間に700kg収穫量
摘採方法収穫量品質
手摘み1~3kg/h品質重視
機械摘み(可搬型)200~250kg/h量産重視
機械摘み(常用型)700kg/h量産重視
参考資料:Matcha Business Channel(株式会社カネ七畠山製茶) YouTube動画

手摘みの収穫量には限界があり、抹茶の需要の増加により機械摘みの収穫も欠かせないものになります。

このことから、手摘み抹茶がどれだけ貴重なものかとお分かりいただけたと思います。

↓↓↓手摘みと機械摘み、被覆栽培についての動画をみつけましたので、参考にしてみてください。とってもわかりやすいですよ。

3⃣ 粉砕方法の違い

摘み取った茶葉は、蒸して碾茶炉で乾燥させる工程を経て、抹茶挽きをします。

粉砕方法は「石臼」または「粉砕機」を使う方法の2通りあります。

抹茶の粉砕方法

  1. 石臼で挽いて粉末状にする
  2. 粉砕機(ミル)を使って粉末状にする

抹茶というとすべてが「石臼で挽いたもの」と思い込んでしまいますが、現在流通している抹茶7000トンのうち、茶臼で挽かれたものは17%で残りは粉砕機で粉砕されたものとのことです。(参考資料「宇治抹茶問屋4代目が教える 抹茶のすべて」より)

石臼では1時間40gした挽くことができません。効率よく挽くには粉塵機の方が早いですが、石臼で挽いたものほどの風味が出せないのが現状です。

↓↓↓抹茶ができるまでの工程が見れる動画です。参考にどうぞ

抹茶のグレードについて

先述の通り、抹茶の製造プロセスの違いが品質に影響を与えます。

抹茶の製造過程の方法別におおまかに分類した表が以下の通りです。

ABの工程で作られた抹茶は、手間がかかる分、製造量も限界がありますので高価な抹茶になります。特にAは、本ず栽培をしている茶農家さんが現代ほとんどいないため、貴重な抹茶です。

A. B.C. D. E. F. 食品加工用原料(抹茶ではない)
被 覆棚がけ/本ず栽培棚がけ/寒冷紗直がけ直がけ直がけ露地栽培(被覆していない)
摘 採手摘み手摘み機械摘み機械摘み機械摘み機械摘み(可搬型・常用型)
摘 採 時 期一番茶一番茶一番茶一番茶二番茶秋番茶・モガ
粉 砕石臼石臼石臼粉砕機石臼~粉砕機粉砕機
表1

抹茶は茶師の手腕が大きく関係する

抹茶のごく一部に「シングルオリジン*」で販売されていることもありますが、ほとんどは合組(ブレンド)されて販売されています。

茶師は、豊富な知識と経験、そして研ぎ澄まされた五感を使って、多数の茶葉から厳選し、合組(ブレンド)します。

それぞれの茶葉の特性を見極め、ブレンドすることで、個々の特性を活かし、さらに良いものを作り出します。

「味・色・香り・価格」を踏まえて合組し、さまざまななグレードの抹茶が作られます。

豊富な知識とセンスが必要になります。それが茶師のしごとです。

*「シングルオリジン」=単一農園、単一品種。

グレードの基準

抹茶のグレードは飲用から食品加工用まで幅広いグレードがあります。

しかしながら、抹茶には特定のグレード基準が存在せず、各メーカーごとに異なる基準が設けられています。

それぞれのメーカーが独自の基準を持つ中で、オリジナルのブレンドが作られていますので、いろいろなメーカーの抹茶を試してみるのも抹茶を愉しむ醍醐味になります。

高級抹茶と安価な抹茶(高いグレードと低いグレード)の違い

一般的には抹茶の粒子が細かく、口当たりが良く、苦味が少ないものほど高いグレード(高級抹茶)とされます。お茶として飲む際に苦味が強すぎる抹茶(安価な抹茶)は通常、加工用抹茶として利用されます。

抹茶のグレードの違いには、下記の通り、味、色、香りに違いが出ます。

高級抹茶安価な抹茶
旨み、コク、甘みがある苦み・渋みが強い
鮮やかな緑色黄色味を帯びたくすんだ緑色
香り覆い香という甘い香り覆い香が少ない

ただ、安価なものが悪いというわけではなく、苦みの強い抹茶は、ラテやスイーツとして利用すると抹茶のほろ苦い風味がよく出るので適することがあります。また逆に品質にいいものを加工として使用すると抹茶の風味が出なく、ぼやけた味になることがありますので、使う用途によって品質を選ぶ必要があります。

抹茶の定義とは

中には、被覆しないで栽培した茶葉を粉末にしたものを「抹茶」と謳っているものもありますが、正式にはそれは抹茶ではありません。抹茶は緑茶をそのまま粉末にしたものと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、抹茶と粉末茶は違うものです。

※「【抹茶】【粉末茶】【粉茶】【インスタント茶】の違い」の詳しくは今後記事にしてまとめますので、楽しみにしていてください。

公益社団法人日本茶業中央会によると、

抹茶の定義とは

碾茶(覆下栽培した茶葉を碾茶炉等で揉まずに乾燥したもの)を茶臼等で微粉末状に製造したもの

※ 「碾茶」とは、摘採期前に棚施設等を利用して茶園をよしず、コモ、寒冷紗などの被覆資材で 2~3 週間程度覆った「覆下茶園」から摘採した茶葉を蒸熱し、揉まずに碾茶炉等で乾燥させて製造したもの。
※「碾茶炉」とは、広がった状態の茶葉(蒸葉)が、コンベア上に散布され、コンベアがトンネル状の乾燥室を通過する間に、内部の輻射・伝熱と熱風で茶葉が加熱乾燥される装置。
なお、碾茶炉等で揉まないで乾燥された秋碾茶、モガ茶等の原料茶葉は、食品加工用碾茶と称してもっぱら食品加工用原料に供されるものと理解する。
※「茶臼」とは、碾茶を微粉末化して抹茶にするために用いる石臼をいう。
なお、茶臼等には、材料粉砕方法は問わないが石臼に準じた機能を備えているものを含む。

はじめての抹茶はどれがいい?

初めて抹茶を選ぶ際には、グレードの基準が分かりにくいかもしれませんが、品質は一般的に価格と関連しています。

「抹茶は苦いもの」と思っていた方は、高級な抹茶を飲むことで「本来の抹茶はこういうものなのか」と驚かれるでしょう。

初めての購入なら、30gで1000円から1500円程度のものを選ぶと良いでしょう。この価格帯の抹茶を試してみて、それより高価なものや低価格なものを試すことで、抹茶の違いが明確になるかもしれません。

もし好みではない抹茶を購入してしまっても、ラテやスイーツに利用することで美味しく楽しむことができます。

MATCHA DAYSオリジナルブレンド抹茶

MATCHA DAYSオリジナルブレンドは、茶師最高段位である茶師十段の小林裕さんによってブレンドされた高品質の抹茶です。

春摘み(一番茶)の上質な碾茶から作られており、濃厚なコクと旨み、クリーミーな口当たりで苦渋みの少ないの味わいが特徴です。

↑小林茶師が「マツコの知らない世界」にご出演した動画です

茶師の技術と経験がなければ生み出せない、美味しい抹茶をお楽しみいただけます。抹茶の素晴らしい風味と品質を体験してみたい方は、ぜひMATCHA DAYSのオリジナルブレンドを試してみてください。